三国志の主人公は誰?正史と演義の違いや真の英雄を歴史家が徹底解説

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三国志主人公は誰?正史と演義の違いや真の英雄を歴史家が徹底解説
歴史探偵女

結局、三国志の主人公ってだれなの?

歴史探偵男

三国志における主人公の候補が知りたい!

この記事では、こんな疑問にお答えしますね。

この記事で分かること
  • 正史と演義における主人公定義の決定的な違い
  • 劉備が物語の主役として定着した歴史的背景
  • 悪役とされた曹操が現代で再評価される理由
  • ゲームや漫画で異なる多様な主人公たちの魅力
  • 自分の価値観に合った最高の作品が見つかる
執筆者情報
歴女
歴女
  • 歴史大好き女
  • 今まで読んだ歴史書籍は日本史&世界史で200冊以上
  • 日本史&中国史が得意
  • 特に中国の春秋戦国時代や三国時代、日本の戦国時代が好き
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三国志の世界に足を踏み入れたとき、誰もが一度は抱く素朴にして最大の疑問、それが「三国志主人公はいったい誰なのか?」というテーマではないでしょうか?

実はこの問い、歴史ファン歴が長ければ長いほど答えるのが難しくなるんです。

「劉備こそが正義の味方だ」という昔ながらの意見もあれば、「いやいや、歴史を動かした曹操こそが真の主役だろう」という現実的な視点。

さらには、「最終的に勝った司馬懿以外は全員脇役だ」なんていうシビアな見方まで存在しますね。

また、小説、歴史書、漫画、ゲーム……触れるメディアによって主人公が変わるのも三国志の面白いところですよね。

そこで、この記事では、そんな多面的な「主人公問題」を整理し、あなたの価値観にぴったり合う英雄を見つけるお手伝いをします。

目次

正史と演義で変わる三国志における主人公の定義

正史と演義で変わる三国志における主人公の定義

私たちが普段ひとくくりに「三国志」と呼んでいる物語には、実は大きく分けて二つの世界が存在することをご存じでしょうか?

一つは歴史的事実を記した歴史書としての『正史』、もう一つは後にエンターテインメントとして脚色された物語『三国志演義』です。

そして、この二つのどちらを基準にするかで、誰が主人公かという答えは180度変わってきてしまうんですよね。

そのため、まずはこの複雑な構造を解きほぐすところから始めていきましょう。

正史と演義における設定の違い

まず押さえておきたいのが、この二つの書物が成立した時代と政治的な背景の違いですね。

歴史書である『正史(三国志)』は、3世紀の終わり頃、西晋の陳寿(ちんじゅ)という人物によって編纂されました。

そして、彼が仕えていた晋という国は、魏から「禅譲(ぜんじょう)」という平和的な形で政権を受け継いで成立した王朝ですね。

そのため、晋が正統な政府であるためには、その前身である「魏」もまた正統な王朝でなければならないという政治的な理屈がありました。

結果として、正史では魏の建国者である曹操や、その後の魏の皇帝たちの記録が中心となり、分量も「魏書」が圧倒的に多くなっています。

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その一方で、私たちがドラマや漫画でよく目にする物語『三国志演義』は、それから約1000年も後の明の時代に、羅貫中(らかんちゅう)によってまとめられた小説です。

この時代には、「朱子学」という道徳を重んじる思想が広まっており、「漢王朝の血を引く劉備こそが正統であり、帝位を奪った魏は逆賊である」という考え方が主流になっていました。

そのため、この「蜀漢正統論」に基づき、民間伝承や講談の内容を取り入れて完成されたのが演義なんです。

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つまり、「正史」は当時の政治的配慮から魏を国の中心として記録し、「演義」は後世の道徳観から蜀(劉備)を物語の中心として描いています。

このように、この土台の違いこそが、主人公論争の出発点なのです。

本当の主人公は誰だと言えるか

では、客観的に見て本当の主人公は誰なのでしょうか?

この問いに対する答えは、実は「読み手が何を求めているか」によって変わると私は考えています。

そこで、「歴史の勝者は誰か?」という事実を重視するなら、答えは明確です。

中原を制して巨大な魏の基盤を作った曹操、あるいはその魏の中で権力を握り、最終的に三国時代を終わらせて晋の礎を築いた司馬懿(しばい)こそが、歴史記述上の主人公と言えるでしょう。

それは、彼らの行動こそが、時代の大きなうねりを作ったからです。

しかし、物語としての「熱量」や「感情移入」を重視するならば、話は別です。

強大な敵に何度負けても立ち上がり、夢を追い続けた劉備や、その夢を託されて命を燃やし尽くした諸葛亮孔明の生き様には、人間ドラマとしての圧倒的な魅力があります。

また、三国志は特定の個人の伝記ではなく、数えきれないほどの英雄たちが織りなす群像劇(アンサンブル・キャスト)です。

だからこそ、「全員が主人公であり、誰の視点で歴史を見るかを選ぶ自由」が、私たち読者には残されているんですね。

劉備が主役である歴史的な理由

劉備が主役である歴史的な理由

なぜ、今日において「三国志の主人公=劉備」というイメージがこれほどまでに強いのでしょうか?

これには、長い歴史の中で、大衆が求めてきた「弱者が強者に立ち向かう物語」への渇望が深く関係しています。

劉備のスタート地点は、王族の末裔を自称しながらも、実際は筵(むしろ)を織って草鞋(わらじ)を売るという非常に貧しい境遇でした。

そのため、彼には曹操のような圧倒的な資金力もなければ、孫権のような盤石な地盤もありません。

持っていたのは、関羽や張飛といった義兄弟との固い絆、そして民衆を見捨てない「仁徳」だけでした。

そして、『演義』の中で描かれる劉備は、敵に追われて逃げる際にも、足手まといになる民衆を連れていくことを選びます(携民渡江)。

軍事的には愚策ですが、これこそが彼の「徳」の証明であり、読者が彼を応援したくなる最大の理由なんですね。

この「能力よりも人徳」「武力よりも正義」という価値観は、儒教社会であった中国だけでなく、判官贔屓(はんがんびいき)を好む日本人の感性にも深く刺さりました。

こうして、何百年もの時間をかけて、劉備は「絶対的な善玉主人公」としての地位を不動のものにしていったのです。

曹操が放つ悪役ではない魅力

かつての物語では「漢を乗っ取った極悪非道の逆賊」として扱われ、京劇などの伝統芸能でも顔を白く塗った悪役(白面)として描かれてきた曹操。

しかし、現代において彼の評価は劇的に変化しており、むしろ「彼こそが真の英雄であり、理想のリーダーだ」と考えるファンが急増しています。

そして、その理由ですが、彼の徹底した合理主義と人間的な魅力にあります。

曹操は「唯才(ゆいさい)」という方針を掲げ、「才能さえあれば、家柄や過去の品行に関わらず登用する」という徹底した実力主義を貫きました。

これは、コネや身分が全ての古代社会においては革命的なことであり、現代のビジネス社会や競争社会を生きる私たちにとっても非常に共感しやすい思想なんです。

また、政治家・軍人として超一流でありながら、当時の文学界(建安文学)をリードする詩人でもあったという多面性も見逃せませんね。

それと、彼の残した詩(短歌行など)には、酒を酌み交わしながら人生の短さを憂い、優秀な人材を求める切実な思いや、覇者ゆえの孤独な心が表現されています。

戦場での冷徹さと、詩に見る繊細な人間臭さ。このギャップこそが、現代人を惹きつける大きな要因となっているのです。

歴史探偵女

歴史書『正史』では魏が正統とされ、物語『演義』では判官贔屓により劉備が主役となります。この違いは成立背景や政治的意図によるもので、事実に基づく勝者を問うか、物語としての感動を求めるかで、誰を「三国志主人公」と定義するかの答えは根本的な視座から変わるんです。

メディア別で人気の三国志における主人公と評価

メディア別で人気の三国志における主人公と評価

時代が変わり、小説だけでなく漫画、ゲーム、ドラマ、映画と表現媒体が増えるにつれて、三国志主人公の描かれ方も驚くほど多様化しています。

昔ながらの「劉備=善、曹操=悪」という単純な図式は影を潜め、作品のターゲット層に合わせて主役が自由に選ばれるようになりました。

そこで、ここでは、近年のエンターテインメント作品において、誰がどのように主役としてスポットライトを浴びているのか、そのトレンドを見ていきましょう。

諸葛亮孔明こそ真の主役という説

『三国志演義』の物語構造をよく分析してみると、物語の前半は劉備が苦労しながら国を作るサクセスストーリーです。

しかし、劉備が亡くなった後の後半は、遺された諸葛亮孔明が孤軍奮闘する物語へとシフトしていることが分かります。

そして、劉備の死後ですが、蜀の国力は疲弊し、人材も不足していました。

それでも孔明は、亡き主君・劉備と交わした「漢室復興」という約束(天下三分の計)を果たすため、勝算の薄い北伐を繰り返します。

また、有名な「出師の表(すいしのひょう)」に込められた痛切なまでの忠義心と、五丈原の戦陣で志半ばにして倒れるその最期は、物語全体のクライマックスとしてあまりにも印象的ですよね。

そのため、多くの読者が「孔明が死んだ時点で三国志は終わった」と感じて本を閉じてしまうほどです。

このように、卓越した知略を持ちながら、あえて困難な運命に殉じたその姿は、日本人が愛してやまない「滅びの美学」を体現する悲劇の主人公として、永遠の人気を誇っています。

ゲームで最強とされる趙雲の人気

歴史小説の枠を超え、アクションゲーム『真・三國無双』シリーズなどの影響で、特に若い世代を中心に圧倒的な「主人公感」を放っているのが趙雲(ちょううん)になります。

実は、正史における彼の記述はそれほど多くないのですが、演義で描かれた長坂の戦いでの「阿斗(のちの劉禅)を抱いて敵の大軍の中を単騎で駆け抜ける」というエピソードのインパクトが凄まじいですよね。

そのため、彼には「負け知らずの最強武将」という属性が付与されました。

そして、ゲームのパッケージイラストやオープニングムービーでセンターを飾ることも多く、その扱いは事実上の主役級です。

関羽や張飛のようなアクの強さがなく、政治的なドロドロした権力争いとも無縁。

つまり、純粋に武勇と忠義を貫く爽やかでクリーンなキャラクター性は、プレイヤーが自己投影して敵をなぎ倒すアクションゲームの主役として、これ以上ないほど最適だったのでしょう。

最後の勝者である司馬懿の再評価

最後の勝者である司馬懿の再評価

近年、特に中国で制作されたドラマ『三国志〜司馬懿 軍師連盟〜』などのヒットにより、急速に注目を集めているのが司馬懿(しばい)です。

これまでの物語では「孔明のライバル」としての悪役や、最後に漁夫の利で天下を奪った「狡猾な老狸」というネガティブなイメージが強かった。

しかし、視点を変えれば「最も過酷な環境を生き抜いたサバイバー」とも言えますよね。

そして、司馬懿は猜疑心の強い曹操にその才能を警戒されながら仕え、曹丕や曹叡といった歴代皇帝の下でも常に粛清の恐怖と戦い続けました。

彼は感情を表に出さず、忍耐に忍耐を重ね、ライバルたちが死に絶えるのを待ち、人生の最晩年になってようやく実権を握ります。

また、この司馬懿は派手な英雄譚ではなく、組織の中で生き残るための処世術や、家族を守るためのリアリズム。

この「耐え忍んで最後に勝つ」という生き様への再評価は、現代社会の先行き不透明さを反映しているのかもしれませんね。

ビジネスに役立つリーダー論

三国志の登場人物を現代のビジネスシーンに当てはめて考える、「もし三国志の英雄が現代の社長だったら?」という視点も非常に人気があります。

それぞれのリーダーシップスタイルは特徴的で、自分が目指す理想の上司像や、今の組織に必要なリーダー像を探るヒントになります。

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タイプ特徴とスタイル現代でのイメージ
劉備型自分の無力を認め、部下に全権を任せて活躍させる「サーバントリーダーシップ」。徳と信頼で人を惹きつける。カリスマ創業社長、人たらしの上司、ベンチャー企業のリーダー
曹操型圧倒的な能力とビジョンで組織を牽引する「トップダウン型」。成果主義でスピード感ある決断を下す。外資系CEO、改革派リーダー、ワンマンだが有能な経営者
孫権型父や兄から受け継いだ基盤を守り、古参と新参のバランスを取る「調整型」。守成の名君。二代目社長、大企業の組織調整役、バランス感覚に優れた管理者

あなたが部下として働くなら誰の下がいいか、あるいは自分がリーダーならどのタイプに近いか。

そういった視点で物語を読み直すと、単なる歴史物語が「ビジネスの教科書」に見えてくるから不思議ですよね。

また、自分のキャリアの状況によって、心に響く「主人公」が変わるのも面白い現象と言えます。

女性キャラから見た物語の魅力

三国志はどうしても「男たちの戦い」と思われがちですが、物語を動かす影の主人公として、女性キャラクターたちの存在も決して無視できません。

むしろ、彼女たちの行動が歴史の転換点になっていることも多いのです。

例えば、絶世の美女・貂蝉(ちょうせん)がいなければ、暴虐を極めた董卓が呂布に討たれることはなく、歴史は全く違ったものになっていたでしょう。

また、呉から劉備のもとへ政略結婚で嫁いだ孫尚香(孫夫人)のエピソードもドラマチックですよ。

彼女は、「弓腰姫」と呼ばれるほど勇ましい女性でしたが、国同士の対立によって夫と引き裂かれる悲劇に見舞われます。

道具として扱われながらも、気丈に自らの意志を貫こうとした彼女たちの強さや悲哀は、現代的なジェンダー観からも再注目されており、彼女たちを主役(視点人物)とした小説や創作物も増えてきていますね。

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メディアの多様化に伴い、悲劇の孔明、ゲームで人気の趙雲、最後の勝者司馬懿など主役の座は分散していますね。さらにビジネス視点のリーダー論や女性視点も加わり、各作品がターゲット層に合わせて「三国志主人公」を自由に再定義し、その魅力は現代においても拡大し続けています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 呉の孫権は主人公として扱われないのですか?

演義の構成上、どうしても「劉備(善)vs 曹操(悪)」の対立軸がメインになるため、第三極である呉の孫権は脇役になりがちです。しかし、若くして父兄の基盤を受け継ぎ、曹操・劉備という二大巨頭と渡り合いながら国を長く守り抜いた手腕は「守成の名君」として高く評価されています。特に、組織を守る立場の中間管理職や経営者の方々からは、派手さはなくとも堅実な彼こそが理想の主人公であるという根強い支持がありますよ。

Q2. 初心者が最初に触れるべき作品はどれですか?

「三国志」の全体像をスタンダードに知りたいなら、やはり横山光輝先生の漫画『三国志』が鉄板の入門書です。もし活字や漫画よりもアクションやビジュアルから入りたいなら、ゲーム『真・三國無双』シリーズが良いでしょう。キャラクターの個性が際立っており、名前を覚えるのに最適ですね。また、従来のイメージを覆す熱い物語が見たいなら、曹操を主人公にした漫画『蒼天航路』がおすすめです。自分の興味があるメディアから入るのが、挫折せずに楽しむ一番の近道ですよ。

Q3. なぜ主人公とされる国が最終的に負けるのですか?

これは日本人の「判官贔屓(はんがんびいき)」の感性や、物語としての「カタルシス」が関係しています。現実の歴史では強大な魏(晋)が勝ちますが、物語としては、弱い立場の蜀が夢に向かってあがき、志半ばで倒れる「滅びの美学」の方が感動を呼びやすいのです。これは、現実の勝敗を超えて、不可能な夢に殉じた姿こそが人々の心を打ち、結果として負けた側の人物が長く語り継がれる「主人公」となる条件を満たしているからだと言えます。

まとめ:自身の価値観で決める三国志の主人公

結局のところ、「三国志主人公を誰にするか」という問いに、唯一絶対の正解はありませんよ。

歴史の冷徹な事実と勝者の論理に重きを置くなら、曹操や司馬懿こそが主役です。

物語としての熱さ、仁徳、そして涙を求めるなら、やはり劉備や孔明が不動の主人公でしょう。

そして、個人の武勇やカッコよさに憧れるなら、趙雲や関羽があなたのヒーローになるはずです。

そこで大切なのは、誰か一人の視点や、既存の「正義・悪」のレッテルに縛られるのではなく、多様な視点からこの壮大な時代を眺めてみることです。

そうすることで、自分自身の今の状況、年齢、あるいは抱えている悩みと共鳴する「あなただけの主人公」が必ず見つかるはずですから。

また、三国志は一生楽しめるコンテンツです。ぜひ、多くの作品に触れて、あなたの心に残る最高の一人を見つけてみてくださいね。

歴女

結局、唯一絶対の正解はなく、覇道の曹操、王道の劉備など、何を重視するかで答えは変わります。多様な視点から歴史を眺めることは、自身の現状や悩みと共鳴する人物を見つける旅でもあり、その発見こそが、あなたにとっての真の「三国志主人公」を決定づけることになるのですから。

※本記事の歴史解釈や人物評価は、一般的な通説およびエンターテインメント作品に基づく個人の見解を含みます。歴史的事実の詳細は諸説あるため、学術的な研究や正確な情報については、専門書籍や公式サイト等で必ずご確認ください。

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